○防府市佐波川清流保全条例

平成十三年三月三十日

条例第十五号

目次

前文

第一章 総則(第一条―第八条)

第二章 清流保全対策

第一節 生活排水等の対策(第九条―第十二条)

第二節 事業排水の対策(第十三条)

第三節 事前協議(第十四条・第十五条)

第四節 清流保全協定(第十六条)

第五節 水質調査(第十七条)

第六節 美化及び清掃(第十八条―第二十条)

第三章 雑則(第二十一条―第二十六条)

附則

「歴史の川にホタル舞う・佐波川の清流を後世に」

島根県境三ツ峰にその源を発し、瀬戸内海に注ぎ悠久のときを流れる川、佐波川は、「母なる川」として生きとし生けるものに生命いのちを与え、幾多の文化と歴史を育みながら、市民生活に潤いと安らぎを与えてきた。

このすばらしいかけがえのない佐波川の清流を保全し、後世に引き継ぐことは、私たちに課せられた重大な責務である。

ここに、私たち市民は英知と総力を結集し、佐波川の清流を守ることを決意し、この条例を制定する。

第一章 総則

(趣旨)

第一条 この条例は、佐波川の清流を守るため、河川管理者の定める佐波川水系河川環境管理基本計画と相まって、市、事業者及び市民のそれぞれの責務を明らかにするとともに、佐波川の清流の保全に関する必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 佐波川水系 公共用水域が該当する水質汚濁に係る環境基準の水域類型の指定に関する告示(昭和五十年山口県告示第三百九号の六)の佐波川水系の佐野せきより上流の水域及び当該水域に接続する河川、公共溝渠こうきよ、かんがい用水路その他公共の用に供される水路をいう。

 生活排水 し尿及び炊事、洗濯、入浴等の人の日常生活に伴い排出される水をいう。

 事業排水 事業活動に伴ない排出される水をいう。

 対象事業場 次に掲げる工場又は事業場をいう。

 水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号。以下「法」という。)第二条第二項に規定する特定施設を設置する工場又は事業場のうち、有害物質(法第二条第二項第一号に規定する物質をいう。)を製造し、使用し、若しくは処理するもの、又は一日当たりの平均的な排出水(同条第五項に規定する排出水をいう。)の量が五十立方メートル以上であるもの

 山口県公害防止条例施行規則(昭和四十八年山口県規則第四十六号)第七条第三号に規定する汚水等に係る施設を設置する工場又は事業場

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第八条第一項に規定する一般廃棄物処理施設又は同法第十五条第一項に規定する産業廃棄物処理施設を設置する工場又は事業場

 その他市長が佐波川の清流を損なうおそれがあると認める工場又は事業場

(市の責務)

第三条 市は、佐波川の清流を守るため、諸施策を策定し、その実施に努めなければならない。

(事業者の責務)

第四条 事業者は、佐波川の清流を守るため、常に最大限の努力をするとともに、市が実施する施策に協力しなければならない。

2 事業者は、その事業活動に伴い排出される廃棄物及び水の適正な処理に努め、佐波川の清流を損なわないよう、自らの責任と負担において必要な措置を講じなければならない。

3 事業者は、その事業活動に伴い佐波川の清流の保全に係る紛争が生じたときは、誠意をもってその解決に当たらなければならない。

(市民の責務)

第五条 市民は、佐波川の清流を守るため、自ら積極的に努力するとともに、市が実施する施策に協力しなければならない。

(連携及び協力)

第六条 市、事業者及び市民は、連携を図り、佐波川の清流を守るために必要な活動を協力して行うものとする。

(関係行政機関との協力等)

第七条 市長は、佐波川の清流の保全のために必要と認めるときは、国、県その他関係地方公共団体に施策の実施について協力を求め、又は必要な措置を要請するものとする。

(啓発活動等)

第八条 市長は、佐波川の清流を守るため市民及び事業者の知識の普及及び意識の高揚を図るとともに、市民の自主的活動の助長に努めなければならない。

第二章 清流保全対策

第一節 生活排水等の対策

(生活排水の適正処理)

第九条 市民は、生活排水を佐波川水系に排出しようとするときは、生活排水の浄化に有効な装置(以下「浄化装置」という。)を設置して排出するよう努めるとともに、当該浄化装置等が常に有効に機能するよう適正な管理に努めなければならない。

2 市民は、調理くず、廃食用油等の適正な処理及び洗剤の適正な使用等に努めなければならない。

(助成措置)

第十条 市は、浄化装置の設置を促進するため、市民に対し適切な指導、助言及び助成を行うものとする。

(肥料等の適正使用)

第十一条 肥料又は農薬を使用する者は、その適正な使用に努めなければならない。

(家畜等のふん尿の適正処理)

第十二条 家畜、家きんその他の動物(以下この条において「家畜等」という。)を飼育する者は、家畜等のふん尿について、その処理施設の整備に努めるとともに、土壌への還元等の方法により適正に処理しなければならない。

第二節 事業排水の対策

(事業排水の適正処理)

第十三条 事業者は、事業排水を佐波川水系に排出しようとするときは、法令に定められた基準を遵守し、かつ、佐波川水系の事業排水による汚濁の負荷の低減に有効な処理施設を設置して排出するよう努めるとともに、できる限り再生等の方法により当該事業排水を排出しないよう努めるものとする。

第三節 事前協議

(事前協議)

第十四条 佐波川水系の流域内において、対象事業場を設置しようとする事業者は、事業計画書を添えて、あらかじめ市長に協議しなければならない。

2 市長は、事業者が前項の規定による協議をせず、又は協議の見込みがないと認めるときは、当該事業者に対し期限を定めて協議をするよう要請するものとする。

(協議事項の変更)

第十五条 前条第一項の規定による協議をした事業者は、その協議に係る事項を変更しようとするときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。

第四節 清流保全協定

(清流保全協定)

第十六条 市長は、必要に応じて、第十四条第一項の規定により協議をした事業者と清流の保全のために必要な事項を内容とする協定(以下「清流保全協定」という。)を締結するものとする。

2 清流保全協定を締結した事業者は、これを忠実に履行しなければならない。

第五節 水質調査

(水質調査)

第十七条 市長は、佐波川水系の水質調査を定期的に実施し、その結果を公表するものとする。

2 市長は、前項の調査の結果、水質に異常が認められたときは、速やかに関係行政機関と協力し、適切な措置を講ずるものとする。

第六節 美化及び清掃

(行為の禁止)

第十八条 何人も、みだりにごみの投棄等により、佐波川の清流を損なう行為をしてはならない。

(美化及び清掃)

第十九条 市民は、自ら佐波川水系及びその流域の美化及び清掃に努めなければならない。

(佐波川愛護月間)

第二十条 市民に広く佐波川の清流の保全についての関心と理解を深めるとともに、積極的な活動を保すため、毎年七月を佐波川愛護月間とする。

第三章 雑則

(報告及び調査)

第二十一条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、事業排水を排出する事業者から事業場、事業の実施状況その他必要な事項に関して報告を求め、又は職員に事業場その他の場所に立ち入らせ、その状況その他必要な事項を調査させることができる。

2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 何人も、正当な理由がない限り、第一項の規定による報告及び立入調査を拒み、又は妨げてはならない。

(指導)

第二十二条 市長は、清流保全協定を締結した事業者が当該協定を遵守せず事業を行い、佐波川水系に事業排水を排出したときは、佐波川水系の水質を保全するために必要な措置を講ずるよう指導することができる。

(氏名等の公表)

第二十三条 市長は、事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該事業者の氏名及び事実行為について公表することができる。

 第十四条第二項の要請に従わないとき。

 第二十一条第一項の規定による報告及び立入調査を拒み、又は妨げたとき。

 前条の指導に従わないとき。

(法令の遵守義務)

第二十四条 事業者及び市民は、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)その他の河川環境の保全に関する法令を遵守しなければならない。

(その他の河川)

第二十五条 市、事業者及び市民は、佐波川水系以外の河川についても水質を保全するよう努めなければならない。

(委任)

第二十六条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成十三年四月一日から施行する。

(経過措置)

2 市長は、この条例の施行の際現に対象事業場を設置している事業者、又はこの条例の施行の日前に対象事業場を設置するための工事に着手している事業者と清流保全協定を締結するよう努めるものとする。

防府市佐波川清流保全条例

平成13年3月30日 条例第15号

(平成13年3月30日施行)