○防府市議会基本条例

平成二十二年十二月八日

条例第三十一号

目次

前文

第一章 総則(第一条)

第二章 議会及び議員の活動原則(第二条―第五条)

第三章 市民及び市民等と議会の関係(第六条―第九条)

第四章 市長等と議会の関係(第十条―第十三条)

第五章 討論の拡大(第十四条・第十五条)

第六章 委員会(第十六条・第十七条)

第七章 政務活動費(第十八条)

第八章 議会改革の推進(第十九条・第二十条)

第九章 議会機能の充実強化(第二十一条―第二十六条)

第十章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第二十七条―第二十九条)

第十一章 条例の位置付け及び見直し(第三十条・第三十一条)

附則

日本国憲法は、第八章において、地方自治を保障するとともに、地方公共団体の長、その議会の議員を住民の直接選挙によって選ぶ二元代表制を定めています。

防府市民に直接選ばれた議員によって構成される防府市議会は、市長その他の執行機関に対して独立・対等の機関として、市民の信託にこたえ、監視し、けん制することで、市政の独裁化・地方自治の空洞化を防ぐ役割を担っています。

また、市長その他の執行機関と議会が相互に抑制的均衡と緊張関係を保ちながらも、市長は独任制、議会は合議制の機関として、異なる特性を生かし、防府市の発展、市民福祉の向上を目指して、競い合い、協力し合うことが求められています。

地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成十一年法律第八十七号)の施行によって、機関委任事務は廃止され、地方公共団体の処理する事務は自治事務と法定受託事務に再構成されるとともに、防府市は国・山口県と「対等・協力」という新たな関係を築くことになりました。これにより、これまで国や山口県の権限であったものについても、防府市への移譲が推進されつつあります。

防府市が、自らの責任において自ら決定する領域が拡がったことに伴い、防府市議会が担う役割と責任も増大しました。

防府市議会は、市長その他の執行機関を監視・けん制するだけでなく、政策提言・立案機能や調整能力を高め、「幅広く市民の意思を反映する」という議会の役割を果たすため、「市民に開かれた議会」・「市民と協働する議会」を目指します。

防府市議会は、これまでも様々な改革に取り組んできましたが、今後も、議員一人ひとりが資質の向上に努めるとともに、議会自らが不断の改革を続けることで、市民から信頼され、市民の幸せを実現する議会となることを決意し、この条例を制定します。

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、新しい地方分権時代において、二元代表制の下、市議会(以下「議会」といいます。)が市政に幅広く市民(市内に住所を有する人をいいます。以下同じです。)の声を反映することで、防府市の発展と市民福祉の向上を図ることを目的とします。

第二章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第二条 議会は、市政における意思決定機関であることを常に自覚し、公正性、透明性及び信頼性を重視した議会運営に努めるとともに、市長その他の執行機関(以下「市長等」といいます。)の市政運営状況を監視し、けん制する機能を果たさなければなりません。

2 議会は、提出された議案の審議又は審査を行うほか、市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映させるため、調査活動や政策立案及び政策提言を積極的に行わなければなりません。

3 議会は、議案の審議に用いる資料等を提供するなど、市民等(市民、市内で働き、若しくは学ぶ人又は市内で事業活動その他の活動を行う人若しくは団体をいいます。以下同じです。)の傍聴の意欲を高める議会運営に努めるものとします。

4 議会は、議決責任を深く認識し、市民等に対して、情報提供及び情報公開を積極的に推進するとともに、説明責任を果たさなければなりません。

(議員の活動原則)

第三条 市議会議員(以下「議員」といいます。)は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを認識し、市長等との議論及び議員相互における議論が積極的なものとなるよう努めなければなりません。

2 議員は、日常的に市政全般についての課題及び市民の意見、要望等を的確に把握するとともに、市民の信託にこたえるよう誠実に職務を遂行しなければなりません。

3 議員は、議会の構成員として、市民全体の福祉の向上を目指して活動しなければなりません。

4 議員は、日常の調査及び研修活動を通じて、自らの資質の向上に努めなければなりません。

5 議員は、議会活動について、市民等に対して説明責任を果たさなければなりません。

(危機管理)

第四条 議会は、災害等の不測の事態から市民等の生命、身体及び財産又は生活の平穏を守るとともに、緊急時における総合的かつ機能的な活動が図れるよう、市長等と協力し、危機管理体制の整備に努めなければなりません。

2 議会及び議員は、災害等の不測の事態が発生したときは、市長等と連携し、次のとおり対応するものとします。

 議長は、議員による協議又は調整を行うための協議会等を開催することができるものとします。

 議会及び議員は、状況を調査し、市民の意見及び要望を的確に把握するとともに、必要に応じ市長等に対し、提言及び提案を行うものとします。

(会派)

第五条 議員は、議会活動を行うに当たり、会派を結成するものとします。

2 会派は、主として政策に関して同一の理念を共有する議員で構成するものとします。

3 会派は、議会運営、政策立案等に関し、必要に応じて会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとします。

4 議長は、意見調整等の必要があると認めるときは、会派の代表者による会議を開催することができるものとします。

第三章 市民及び市民等と議会の関係

(会議の公開)

第六条 議会は、本会議、委員会及び全員協議会を原則として公開するとともに、その他の会議も公開に努めるものとします。

2 議会は、本会議及び委員会を開くときは、傍聴人が審議、審査及び調査の内容をできる限り容易に理解することができるよう、議案及び会議資料の提供、供覧その他の必要な措置を講じるものとします。

3 前項に定めるもののほか、議会は、市民等が本会議及び委員会を適切に傍聴することができるよう努めるものとします。

(平二八条例三二・令二条例一五・一部改正)

(情報提供)

第七条 議会は、議会広報紙、インターネットその他の広報媒体の活用、講座又は議会報告会の開催等により、議会活動に関する情報を積極的に発信しなければなりません。

2 議会は、会議録及び委員会記録を閲覧できるようにしなければなりません。

3 議会は、議案に対する各議員の意思表示について公表するものとします。

(平二四条例二〇・平二八条例三二・令二条例一五・令四条例一四・一部改正)

(情報公開及び個人情報保護)

第八条 議会は、情報の公開請求に対し、請求者の立場に立って、迅速かつ適切に対処しなければなりません。

2 議会は、個人の権利や利益が侵害されることのないよう、その保有する個人情報の保護を適正に行わなければなりません。

3 情報公開及び個人情報保護について必要な事項は、別に条例で定めます。

(市民参加及び市民等との連携)

第九条 議会は、政策提言に反映させるため、懇談会など市民等との多様な意見交換の場を設けるものとします。

2 議会は、市民等から寄せられた請願や陳情を市民による政策提言と位置付け、その審議においては、これらの提案者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければなりません。

3 議会は、市民の意見及び知見を審査等に反映させるため、公聴会及び参考人の制度の活用に努めるものとします。

4 議会は、議員又は委員会が条例の制定又は改廃で重要なものに係る議案を提出しようとするときは、パブリックコメントを実施して市民等の意見を反映させるよう努めるものとします。

(平二八条例三二・一部改正)

第四章 市長等と議会の関係

(市長等と議会及び議員の関係)

第十条 議会及び議員は、市長等との立場及び権能の違いを踏まえ、市長等との緊張関係の保持に努めなければなりません。

2 議員の市長等に対する質疑及び質問は、広く市政の課題に関する論点及び争点を明らかにするため、一問一答の方式で行うものとします。

3 本会議又は委員会に出席した市長等は、議員から質問を受けたときは、その論点を整理するため、議長又は当該委員会の委員長の許可を得て、当該議員に対し反問することができるものとします。

4 議員は、市長等に対し、議長を通して文書により質問を行い、文書による回答を求めることができるものとします。

5 議会は、議員が行う市長等への要望等について、両者の関係の透明性を図るため、その内容と対応及び経過等を記録した文書を作成し、保存するよう市長等に求めるものとします。

(議会審議における論点情報の形成)

第十一条 議会は、提案される重要な政策、施策、計画等(以下「政策等」といいます。)について、議会審議における論点に係る情報を形成し、議論の水準を高めるとともに、議決責任を担保するため、提案者に対し、次の各号に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとします。

 政策等の提案に至った経緯、理由及び期待される効果

 他の自治体の類似する政策等との比較検討

 提案に至る過程における市民参加の実施の有無とその内容

 総合計画との整合性

 関係法令及び条例等

 財源措置及び将来にわたるコスト計算

(予算及び決算における政策説明)

第十二条 議会は、市長が予算案及び決算を議会に提出するときは、前条の規定に準じ、市長に対し、政策内容を施策別・事業別の説明書として明らかにするよう求めるものとします。

(事件議決の拡大)

第十三条 議会は、自らの団体意思決定機能と監視機能を向上させ、また、市の重要な計画や政策について市民に開かれた議論を行うため、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第九十六条第二項の規定により議会の議決すべき事件の拡大を図ります。

2 前項の規定による議会の議決すべき事件は、別に条例で定めます。

第五章 討論の拡大

(議員間討議)

第十四条 議会は、議員、委員会及び市長の提出議案、市民提案等について、積極的に議員間の討議を尽くし、合意形成に努めるものとします。

2 議長は、前項の規定による議員間討議を行うときは、市長等に対する本会議等への出席要求を必要最小限にとどめるものとします。

(政策討論会)

第十五条 議会は、市政に関する重要な政策及び課題への認識を共有し、議論を深めるため、必要に応じて政策討論会を行うものとします。

第六章 委員会

(委員会の組織)

第十六条 議会は、その内部機関として、常任委員会及び議会運営委員会を設置し、また、特別委員会を設置することができるものとします。

2 各委員会の所掌事務は、次のとおりとします。

 常任委員会 その部門に属する市の事務に関する調査及び議案、陳情等の審査

 議会運営委員会 議会の運営、会議規則、委員会に関する条例等のほか、議長の諮問に関する事項の調査及び議案、陳情等の審査

 特別委員会 二以上の常任委員会を通ずる事件、又は特に重要な案件に関する事項の審査及び調査

3 委員会の設置等について必要な事項は、別に条例で定めます。

(委員会の運営)

第十七条 委員会は、議案等の審査及びその所管に関する事務の調査のほか、様々な市政の課題に迅速かつ的確に対応するため、機動的に開催するとともに、委員会の専門性と特性を活かし、その機能を十分発揮するよう運営しなければなりません。

2 委員会は、必要に応じて、議会棟以外の場所で会議を開催することができるものとします。

第七章 政務活動費

(平二四条例五二・改称)

(政務活動費)

第十八条 会派は、市政に関する調査研究その他の活動に活用するため、政務活動費の交付を受けることができます。

2 会派は、政務活動費を適正に執行し、市民に対して使途の説明責任を負います。

3 政務活動費について必要な事項は、別に条例で定めます。

(平二四条例五二・一部改正)

第八章 議会改革の推進

(議会改革推進協議会)

第十九条 議会は、議会改革に継続的に取り組むため、議員で構成する議会改革推進協議会を設置します。

(議会モニター制度)

第二十条 議会は、市民の意見を広く聴取し、議会活動及び委員会活動に反映させるため、議会モニター制度を設けることができるものとします。

第九章 議会機能の充実強化

(議員研修の充実)

第二十一条 議会は、議員の資質並びに政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実に努めなければなりません。

2 議会及び議員は、市政の課題を広い視点から捉えるため、他の自治体の事例等を調査研究するよう努めなければなりません。

(議会図書室)

第二十二条 議会は、議会図書室を適正に管理し、運営するとともに、その機能の強化に努めるものとします。

2 議会図書室について必要な事項は、別に条例で定めます。

(専門的識見の活用)

第二十三条 議会は、議案の審査又は市の事務に関する調査に当たり、学識経験を有する者等を積極的に活用するものとします。

(附属機関の設置)

第二十四条 議会は、審査、諮問又は調査のため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、附属機関を設置することができるものとします。

(平二八条例三二・一部改正)

(議会事務局の体制整備及び強化)

第二十五条 議会事務局は、議員の議会活動に必要とされる行政情報の収集及び提供に努めなければなりません。

2 議会事務局は、議会の政策立案機能の強化に資するため、調査機能及び法務機能の充実強化に努めなければなりません。

3 議会事務局は、市民等に対し、迅速かつ積極的に議会に関する情報を提供しなければなりません。

(ICTの積極的活用)

第二十六条 議会は、ICT(デジタル社会形成基本法(令和三年法律第三十五号)第二条に規定する情報通信技術をいいます。)を積極的に活用するものとします。

(令二条例一五・追加、令三条例一九・一部改正)

第十章 議員の政治倫理、身分及び待遇

(議員の政治倫理)

第二十七条 議員は、市民の代表者として、その倫理性を常に自覚し、品位を保持し、識見を養うよう努めなければなりません。

2 議員の政治倫理に関する事項については、別に条例で定めます。

(平二八条例三二・一部改正、令二条例一五・旧第二十六条繰下)

(議員定数)

第二十八条 議員の定数は、別に条例で定めます。

2 委員会又は議員は、前項の定数を改正しようとするときは、議員定数の基準等明確な改正理由を付して、議案を提出しなければなりません。

(令二条例一五・旧第二十七条繰下)

(議員報酬等)

第二十九条 議員報酬等は、別に条例で定めます。

2 委員会又は議員は、前項の報酬等の額等を改正しようとするときは、明確な改正理由を付して、議案を提出しなければなりません。

(令二条例一五・旧第二十八条繰下)

第十一章 条例の位置付け及び見直し

(条例の位置付け)

第三十条 この条例は、本市における議会の最高規範であり、議会に関する条例、規則等の制定、改廃及び運用に当たっては、この条例の趣旨を尊重するものとします。

(令二条例一五・旧第二十九条繰下)

(条例の見直し)

第三十一条 議会は、この条例の目的が達成されているかどうかを、この条例の施行後四年を超えない期間ごとに、議会改革推進協議会で検証するものとします。

2 議会は、前項の検証の結果、議会に関する条例、規則等の改正等が必要と認められる場合は、適切な措置を講じるものとします。

(令二条例一五・旧第三十条繰下)

この条例は、平成二十三年四月一日から施行します。

(平成二四年三月二八日条例第二〇号)

この条例は、平成二十四年四月一日から施行する。

(平成二四年一二月二八日条例第五二号)

(施行期日)

1 この条例は、地方自治法の一部を改正する法律(平成二十四年法律第七十二号)附則第一条ただし書の政令で定める日から施行する。

(平成二八年三月三一日条例第三二号)

この条例は、平成二十八年四月一日から施行する。

(令和二年三月三一日条例第一五号)

(施行期日)

1 この条例は、令和二年四月一日から施行する。

(令和三年一〇月七日条例第一九号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和四年三月三一日条例第一四号)

この条例は、公布の日から施行する。

防府市議会基本条例

平成22年12月8日 条例第31号

(令和4年3月31日施行)

体系情報
第2類 議会・選挙・監査/第1章
沿革情報
平成22年12月8日 条例第31号
平成24年3月28日 条例第20号
平成24年12月28日 条例第52号
平成28年3月31日 条例第32号
令和2年3月31日 条例第15号
令和3年10月7日 条例第19号
令和4年3月31日 条例第14号