○防府市犯罪被害者等支援条例

平成二十四年十二月二十八日

条例第三十八号

(目的)

第一条 この条例は、犯罪被害者等基本法(平成十六年法律第百六十一号)の基本理念にのっとり、本市における犯罪被害者等のための支援に関し、基本理念を定め、市、市民等、事業者及び学校等の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等のための支援に関する施策の基本となる事項を定めることにより、犯罪被害者等が受けた被害の回復及び軽減に向けた取組の推進並びに犯罪被害者等を支える地域社会の形成を図ることを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 犯罪行為 人の生命又は身体を害する罪に当たる行為(刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十七条第一項本文、第三十九条第一項又は第四十一条の規定により罰せられない行為を含むものとし、同法第三十五条又は第三十六条第一項の規定により罰せられない行為及び過失による行為を除く。)をいう。

 犯罪等 犯罪行為及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。

 性犯罪 刑法第百七十六条、第百七十七条及び第百七十九条の罪、第百八十一条及び第二百四十一条の罪に当たる行為並びにこれらの罪(第百七十六条及び第百七十九条第一項の罪を除く。)の未遂罪に当たる行為をいう。

 犯罪被害 犯罪等による被害をいう。

 犯罪被害者等 犯罪被害を受けた市民等及びその家族又は遺族をいう。

 二次的被害 犯罪被害を受けた後に、犯罪被害者等に対する配慮に欠ける言動、誹謗中傷、過剰な取材等により、犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、身体の不調、名誉の毀損、私生活の平穏の侵害、経済的な損失その他の被害をいう。

 再被害 犯罪被害者等が、その被害を受けた犯罪等の加害者から再び受ける犯罪被害をいう。

 関係機関等 国、県、警察その他の関係機関及び犯罪被害者等の支援を行う民間の団体をいう。

 市民 市内に住所を有する者をいう。

 市民等 市民、市内で働き、若しくは学ぶ者又は市内で事業活動その他の活動を行う者若しくは団体をいう。

十一 事業者 市民等のうち、商業、工業その他の事業を営む者をいう。

十二 学校等 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校又は児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する児童福祉施設をいう。

十三 支援金 第九条第二項に規定する遺族支援金、傷害支援金又は性犯罪被害支援金をいう。

(令五条例二二・令五条例三〇・一部改正)

(基本理念)

第三条 犯罪被害者等のための支援は、犯罪被害者等が被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、途切れることなく適切に行われるものとする。

2 犯罪被害者等のための支援は、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないように行われるとともに、犯罪被害者等のための支援に関する個人情報の適正な取扱いの確保に最大限配慮して行われなければならない。

3 犯罪被害者等のための支援は、犯罪等による直接的な被害、二次的被害又は再被害の状況及びその原因並びに犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に行われなければならない。

4 犯罪被害者等のための支援は、市、市民等、事業者、学校等及び関係機関等が相互に連携を図りながら推進されなければならない。

(令五条例二二・一部改正)

(市の責務)

第四条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、犯罪被害者等のための支援に関する施策を策定し、及び実施しなければならない。

2 市は、犯罪被害者等のための支援に関する施策が円滑に実施されるよう、関係機関等と連携し、及び協力しなければならない。

(市民等の責務)

第五条 市民等は、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないよう二次的被害の防止に努めるとともに、犯罪被害者等が再被害を受けることのないよう配慮するものとする。

2 市民等は、市及び関係機関等が行う犯罪被害者等のための支援に関する施策の趣旨を理解し、犯罪被害者等を地域社会で孤立させないよう努めなければならない。

(令五条例二二・一部改正)

(事業者の責務)

第六条 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況を踏まえ、被害の回復及び軽減のための特別な休暇の付与その他犯罪被害者等の就労及び勤務について十分に配慮した対応に努めなければならない。

2 事業者は、その事業活動を行うに当たって、犯罪被害者等が二次的被害及び再被害を受けることのないよう配慮するものとする。

3 事業者は、市及び関係機関等が行う犯罪被害者等のための支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(令五条例二二・一部改正)

(学校等の責務)

第七条 学校等は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等である児童(児童福祉法第四条に規定する児童をいう。以下同じ。)の置かれている状況を踏まえ、家庭及び関係機関等と連携し、及び協力して、児童の発達段階に応じた適切な支援を行うとともに、他の児童の受ける影響についても十分に配慮した対応に努めなければならない。

2 学校等は、犯罪被害者等である児童が学校等での活動において二次的被害及び再被害を受けることのないよう配慮するものとする。

(令五条例二二・一部改正)

(相談、情報の提供等)

第八条 市は、犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の必要な支援を行うとともに、関係機関等との連絡調整を行うものとする。

2 市は、前項の支援を総合的に行うための窓口を設置するものとする。

(支援金の支給)

第九条 市は、犯罪行為(日本国内又は日本国外にある日本船舶若しくは日本航空機内において行われたものに限る。以下同じ。)により死亡し、若しくは傷害(医師の診断により、全治一月以上の加療を要するものをいう。以下同じ。)を受けた市民又は性犯罪により被害を受けた市民(以下この項、第十条第一項第二項及び第五項第十一条第十三条並びに第十六条において「被害者」という。)があるときは、その経済的負担の軽減及び生活の早期安定を図るため、次項に定めるところにより、被害者又はその遺族に対し、支援金を支給する。

2 支援金は、次の各号に掲げるとおりとし、それぞれ当該各号に定める者に対して、一時金として支給する。

 遺族支援金 犯罪行為により死亡した市民の第一順位遺族(次条第三項及び第五項の規定による第一順位の遺族をいう。)

 傷害支援金 犯罪行為により傷害を受けた市民

 性犯罪被害支援金 性犯罪により被害を受けた市民

(令五条例二二・一部改正)

(遺族の範囲及び順位)

第十条 遺族支援金の支給を受けることができる遺族は、被害者の死亡の時において、次の各号のいずれかに該当する者とする。

 被害者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)

 被害者の収入によって生計を維持していた被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹

 前号に該当しない被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹

2 被害者の死亡の当時胎児であった子が出生した場合においては、前項の規定の適用については、その子は、その母が被害者の死亡の当時被害者の収入によって生計を維持していたときにあっては同項第二号の子と、その他のときにあっては同項第三号の子とみなす。

3 遺族支援金の支給を受けるべき遺族の順位は、第一項各号の順序とし、同項第二号及び第三号に掲げる者のうちにあっては、それぞれ当該各号に掲げる順序とし、父母については、養父母を先にし、実父母を後にする。

4 前三項の場合において、遺族支援金の支給を受けるべき同順位の遺族が二人以上あるときは、それらの者のうち、市長が適当と認める者一人を当該支援金の受領についての代表者と定め、その者に当該支援金を支給するものとする。

5 被害者を故意に死亡させ、又は被害者の死亡前に、その者の死亡によって遺族支援金の支給を受けることができる先順位若しくは同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族支援金の支給を受けることができる遺族としない。遺族支援金の支給を受けることができる先順位又は同順位の遺族を故意に死亡させた者も、同様とする。

(支援金の額)

第十一条 支援金の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、被害者一人につき、それぞれ当該各号に定める額とする。

 遺族支援金 三十万円

 傷害支援金 十万円

 性犯罪被害支援金 次に掲げる被害の区分に応じて、それぞれ次に掲げる額

 刑法第百七十七条、第百七十九条第二項又は第二百四十一条の罪に当たる行為(未遂罪に当たる行為を除く。)による被害 十万円

 性犯罪による被害のうちに掲げる被害以外の被害 五万円

2 被害者がその死亡に係る犯罪行為による被害に関し、既に傷害支援金又は性犯罪被害支援金の支給を受けている場合、当該被害者の死亡により支給される遺族支援金の額は、前項第一号の規定にかかわらず、同号に定める額から当該被害者が支給を受けた傷害支援金又は性犯罪被害支援金の額を控除した額とする。

3 第一項第二号及び第三号に規定する支援金のいずれもが支給の対象となる場合は、対象となる支援金のうちいずれか額の多い一方を支給するものとする。

(令五条例二二・令五条例三〇・一部改正)

(支援金の支給申請)

第十二条 支援金の支給を受けようとする者は、規則で定めるところにより、市長に申請しなければならない。

2 前項の申請は、次の各号のいずれかに該当するときは、することができない。ただし、当該各号のいずれかに該当することについてやむを得ない理由があると市長が認めるときは、この限りでない。

 当該犯罪行為による被害の発生を知った日から二年を経過したとき。

 当該犯罪行為の日から七年を経過したとき。

(令五条例二二・一部改正)

(支援金を支給しないことができる場合)

第十三条 市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、支援金を支給しないことができる。

 被害者又は支援金の支給を受けようとする者が、同一事件につき他の地方公共団体の制度により当該支援金と同様の支援金等を受けているとき。

 被害者又はその遺族に次のいずれかに該当する行為があったとき。

 犯罪行為を教唆し、又はほう助する行為

 犯罪行為を誘発する行為その他犯罪行為による被害につき、その責めに帰すべき行為

 被害者又は支援金の支給を受けようとする者が暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)又は暴力団(同法第二条第一項に規定する暴力団をいう。)若しくは暴力団員と密接な関係を有していると認められる者であるとき。

 前三号に掲げる場合のほか、被害者又はその遺族と加害者との関係その他の事情から判断して、支援金を支給することが社会通念上適切でないと認められるとき。

(令五条例二二・一部改正)

(支給決定等)

第十四条 市長は、第十二条第一項の申請があった場合には、速やかに審査の上、支援金を支給し、又は支給しない旨の決定を行わなければならない。

2 市長は、前項の決定を行うため必要があると認めるときは、申請者その他の関係人に対し、報告又は書類の提出を求めることができる。

(支援金の返還)

第十五条 市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、支援金の支給を受けた者から当該支援金を返還させるものとする。

 偽りその他不正の手段により支援金の支給を受けたとき。

 支援金支給後において、第十三条各号のいずれかに該当することが判明したとき。

(助成)

第十六条 市は、被害者及びその家族又は遺族が犯罪行為による被害により受けた経済的負担の軽減を図るため、必要な助成を行うものとする。

2 第十三条の規定は、前項に規定する助成をしないことができる場合について準用する。この場合において同条中「市長」とあるのは「市」と、同条第一号中「支援金の支給」とあるのは「助成」と、「当該支援金と同様の支援金等」とあるのは「第十六条の規定による経済的負担の軽減を図るための助成と同様の助成等」と、第十三条第二号中「被害者」とあるのは「被害者及びその家族」と、同条第三号中「支援金の支給」とあるのは「助成」と、同条第四号中「被害者」とあるのは「被害者及びその家族」と読み替えるものとする。

(令五条例二二・追加)

(保健医療サービス及び福祉サービスの提供)

第十七条 市は、犯罪被害者等が犯罪等により心身に受けた影響から回復し、日常生活を円滑に営むことができるようにするため、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう必要な支援をするものとする。

(令五条例二二・旧第十六条繰下)

(安全の確保)

第十八条 市は、関係機関等と連携して、犯罪被害者等が二次的被害、再被害及び更なる犯罪被害を受けることを防止し、その安全を確保するため、一時保護、施設への入所による保護、防犯に係る指導等必要な支援をするものとする。

(令五条例二二・旧第十七条繰下・一部改正)

(居住の安定)

第十九条 市は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図るため、市営住宅(防府市営住宅設置及び管理条例(平成九年防府市条例第四十一号)第二条第一号に規定する市営住宅をいう。)への入居における特別の配慮等必要な支援をするものとする。

(令五条例二二・旧第十八条繰下)

(雇用の安定)

第二十条 市は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るため、犯罪被害者等が置かれている状況について事業者が理解を深めるための機会の確保等必要な支援をするものとする。

(令五条例二二・旧第十九条繰下)

(市民等の理解の増進)

第二十一条 市は、犯罪被害者等が置かれている状況、その支援の重要性並びに二次的被害及び再被害防止のための配慮の必要性について市民等の理解を深めるため、情報の提供、啓発活動その他の必要な施策を講ずるものとする。

(令五条例二二・旧第二十条繰下・一部改正)

(教育活動の推進)

第二十二条 市は、学校、家庭及び地域社会と連携して、生命、身体及び人権を尊重するための教育活動を推進するものとする。

(令五条例二二・旧第二十一条繰下)

(民間支援団体との連携及び協力)

第二十三条 市は、犯罪被害者等のための支援を行う民間の団体との連携及び協力に努め、その活動の促進を図るため、情報の提供、助言その他の必要な施策を講ずるものとする。

(令五条例二二・旧第二十二条繰下)

(支援をしないことができる場合)

第二十四条 第十三条第二号から第四号までの規定は、市が第十七条から第二十条までに規定する支援をしないことができる場合について準用する。この場合において、第十三条中「市長」とあるのは「市」と、「支援金を支給しない」とあるのは「第十七条から第二十条までに規定する支援をしない」と、第十三条第二号中「被害者又はその遺族」とあるのは「犯罪被害者等」と、「犯罪行為を」とあるのは「犯罪等を」と、「犯罪行為の被害」とあるのは「犯罪被害」と、同条第三号中「被害者又は支援金の支給を受けようとする者」とあるのは「犯罪被害者等」と、同条第四号中「被害者又はその遺族」とあるのは「犯罪被害者等」と、「支援金を支給する」とあるのは「支援をする」と読み替えるものとする。

(令五条例二二・旧第二十三条繰下・一部改正)

(委任)

第二十五条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(令五条例二二・旧第二十四条繰下)

1 この条例は、平成二十五年四月一日から施行する。

2 第九条から第十五条までの規定は、この条例の施行の日以後に行われた犯罪行為による死亡及び傷害について適用し、第十八条の規定は、この条例の施行の日以後に行われた犯罪等による被害について適用する。

(令和五年三月三一日条例第二二号)

(施行期日)

1 この条例は、令和五年四月一日から施行する。

(経過措置)

2 この条例による改正後の防府市犯罪被害者等支援条例の規定は、この条例の施行の日以後に発生した犯罪被害について適用し、施行の日前に発生した犯罪被害については、なお従前の例による。

(令和五年九月一一日条例第三〇号)

この条例は、公布の日から施行する。

防府市犯罪被害者等支援条例

平成24年12月28日 条例第38号

(令和5年9月11日施行)

体系情報
第7類 生/第1章 社会福祉
沿革情報
平成24年12月28日 条例第38号
令和5年3月31日 条例第22号
令和5年9月11日 条例第30号