○防府市男女共同参画推進条例
平成二十五年十二月二十七日
条例第三十九号
防府市は、瀬戸内の温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、古くは周防の国府が置かれ交通の要衝でもありました。また、あまたの人材を輩出し、歴史の上でも重要な役割を果たしてきました。
こうして育まれてきた歴史や文化、伝統を受け継ぎ、更なる飛躍と発展に向けたまちづくりを進めていくためには、全ての人が性別に関わりなく個人として尊重され、自らの意思によって多様な生き方を選択し、その個性と能力を発揮することができる男女共同参画社会の実現が不可欠です。
本市はこれまでも男女共同参画社会の実現を目指し、男女共同参画の推進に積極的に取り組んできましたが、男女の不平等感や自由な活動の選択を妨げる要因も根強く、いまだ多くの課題が残されています。
これらの課題を解消し、市や市民、事業者、教育に携わる者が協働して男女共同参画社会の早期の実現を決意し、この条例を制定します。
(目的)
第一条 この条例は、男女共同参画の推進についての基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育に携わる者の責務を明らかにするとともに、市の男女共同参画に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。
一 男女共同参画 男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画し、かつ、共に責任を担うことをいう。
二 積極的改善措置 前号に規定する活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
三 市民 市内に住所を有する者又は市内で働き、若しくは学ぶ者をいう。
四 事業者 市内に事務所又は事業所を有する法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)及び市内で事業を営む個人をいう。
五 教育に携わる者 市内において学校教育、社会教育その他の生涯にわたる教育の分野において 教育活動を行う者をいう。
(基本理念)
第三条 男女共同参画は、次に掲げる事項を基本理念として推進するものとする。
一 男女の個人としての尊厳が重んじられるとともに、性別による差別的取扱いを受けないこと、及び男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること。
二 社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映し、男女の社会における活動の自由な選択を妨げることがないよう配慮されること。
三 男女が社会の対等な構成員として、市の施策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
四 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、家事、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動及び就業その他の社会における活動を両立して行うことができるよう配慮されること。
五 妊娠、出産その他の生殖に関する事項に関し、男女が互いの意思を尊重すること、及び生涯にわたり互いに健康な生活を営むことについて配慮されること。
六 男女共同参画の推進が国際社会における取組と密接な関係を有していることに鑑み、男女共同参画の推進は国際社会並びに国及び県の動向を勘案して行うこと。
(市の責務)
第四条 市は、前条に規定する男女共同参画の推進についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(市民の責務)
第五条 市民は、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に努めるとともに、市が実施する男女共同参画に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第六条 事業者は、その事業活動に関し、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に努めるとともに、市が実施する男女共同参画に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(教育に携わる者の責務)
第七条 教育に携わる者は、男女共同参画社会の実現に果たす教育の重要性に鑑み、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に配慮した教育を行うよう努めなければならない。
(性別による差別的取扱いの禁止等)
第八条 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、次に掲げる行為を行ってはならない。
一 性別による差別的取扱い
二 セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる性的な言動をいう。)
三 配偶者等に身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為
(基本計画)
第九条 市長は、男女共同参画に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 市長は、基本計画を策定するに当たっては、防府市男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、あらかじめ市民の意見を反映できるよう適切な措置を講じなければならない。
3 市長は、基本計画を策定したときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。
4 前三項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(施策の策定等における配慮)
第十条 市は、施策の策定及び実施に当たっては、男女共同参画の推進に配慮するものとする。
(情報の収集及び分析)
第十一条 市は、男女共同参画に関する施策の策定に必要な情報を収集し、及び分析するものとする。
(事業者の報告)
第十二条 市長は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対し、男女の就業状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
(市民等の理解を深めるための措置)
第十三条 市は、男女共同参画の推進について、市民、事業者及び教育に携わる者の理解を深めるため、啓発活動、学習機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(市民等の活動に対する支援)
第十四条 市は、市民、事業者又は教育に携わる者が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(推進体制の整備)
第十五条 市は、市民、事業者、教育に携わる者並びに国及び県その他の地方公共団体と連携しつつ、男女共同参画に関する施策を積極的に推進するための体制を整備するものとする。
(施策の実施状況等の公表)
第十六条 市長は、男女共同参画の推進の状況及び男女共同参画に関する施策の実施の状況を公表するものとする。
(相談、苦情等への対応)
第十七条 市長は、市民又は事業者から次に掲げる申出があったときは、関係機関と連携協力して、適切に対応するものとする。
一 男女共同参画の推進を阻害する問題についての相談等
二 市が実施する男女共同参画に関する施策についての苦情、意見等
三 市が実施する男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情、意見等
2 市長は、前項の申出に適切に対応するため特に必要があると認められるものについては、防府市男女共同参画審議会の意見を聴くものとする。
(防府市男女共同参画審議会)
第十八条 男女共同参画に関する施策及び男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策並びに市長が必要と認める事項について審議し、又は意見を述べるため、防府市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、委員十五人以内で組織し、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
一 関係団体を代表する者
二 学識経験を有する者
三 公募の手続により決定した者
3 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
附則 抄
(施行期日)
1 この条例は、平成二十六年四月一日から施行する。