○防府市障害の特性に応じたコミュニケーション手段の理解及び利用の促進に関する条例

令和四年三月三十一日

条例第十一号

障害の有無にかかわらず、全ての人がともに助け合いながら地域で暮らしていくためには、障害の特性に応じたコミュニケーション手段により意思疎通を図ることが不可欠である。

平成十八年に国際連合で採択された障害者の権利に関する条約において、言語とは音声言語及び手話その他の形態の非音声言語と、コミュニケーション手段とは言語をはじめ文字の表示、点字、拡大文字、平易な言葉などの多様なものと定義された。この条約の規定を踏まえ、平成二十三年には障害者基本法が改正され、全て障害者は、手話を含む言語その他の意思疎通の手段についての選択の機会が確保されること及び情報の収集又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られることが明記された。

しかしながら、生活の様々な場面において、このようなコミュニケーション手段について十分に理解され、選択と利用の機会が確保されているとは言えず、障害のある人もない人も互いに円滑な意思疎通を図ることの困難さを経験している。

このような状況の下、防府市は、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の理解及び利用の促進を図ることにより、障害のある人をはじめ全ての市民が住み慣れた地域で、共生し、安心して、生きがいをもって暮らせる地域づくりを実現するため、この条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の理解及び利用の促進に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、市が実施する施策の推進に必要な基本的事項を定めることにより、障害の有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重し、支え合いながら生きる地域社会を実現することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 障害のある人 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難病その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁(障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。)により、継続的又は断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

 障害の特性に応じたコミュニケーション手段 手話、文字の表示、点字、触覚を使った意思疎通、拡大文字、利用しやすいマルチメディア並びに筆記、音声、平易な言葉、朗読その他の補助的及び代替的な意思疎通の形態、手段及び様式(利用しやすい情報通信機器を含む。)であって障害の特性に応じて利用されるものをいう。

 合理的配慮 障害のある人が日常生活又は社会生活において障害のない人と同等の権利を行使するため、必要かつ適切な現状の変更及び調整を行うことをいう。

 市民 市内に住所を有し、又は市内に通勤し、若しくは通学する者をいう。

 事業者 市内で事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第三条 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の理解及び利用の促進は、障害のある人もない人も相互にその人格と個性を尊重することを基本として行わなければならない。

2 障害のある人が障害の特性に応じたコミュニケーション手段により円滑に意思疎通を図る権利は、最大限尊重されなければならない。

(市の責務)

第四条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の理解及び利用の促進に関する施策を推進するものとする。

(市民の役割)

第五条 市民は、基本理念に対する理解を深めるとともに、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の理解及び利用の促進に関する市の施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第六条 事業者は、基本理念に対する理解を深めるとともに、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の理解及び利用の促進に関する市の施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、その事業活動を行うに当たり、障害のある人が障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用できるよう合理的配慮の提供に努めるものとする。

(施策の推進方針)

第七条 市は、次に掲げる施策について、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第十一条第三項に規定する市町村障害者計画において定め、総合的かつ計画的に推進するものとする。

 障害のある人、コミュニケーション支援者(手話通訳者、要約筆記者、点訳者、音訳者(朗読者を含む。)、ガイドヘルパーその他障害のある人が円滑に意思疎通を図ることができるよう支援する者をいう。以下同じ。)及び関係機関等(以下「障害のある人等」という。)と協力して行う、広く市民及び事業者に対する障害の特性に応じたコミュニケーション手段の理解及び利用の促進を図るために必要な啓発

 障害のある人等と協力して行う、学校等における児童等が障害の特性に応じたコミュニケーション手段に接する機会の提供

 障害の特性に応じたコミュニケーション手段を用いた情報の発信及び障害のある人が情報を取得しやすい環境の整備

 災害等の非常時における障害の特性に応じたコミュニケーション手段による必要な情報の発信等による支援

 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の理解及び利用の促進を図るためのコミュニケーション支援者の確保及び育成

(財政上の措置)

第八条 市は、障害の特性に応じたコミュニケーション手段の理解及び利用の促進を行うため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、令和四年四月一日から施行する。

防府市障害の特性に応じたコミュニケーション手段の理解及び利用の促進に関する条例

令和4年3月31日 条例第11号

(令和4年4月1日施行)