○防府市乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準を定める条例
令和七年三月二十八日
条例第十六号
目次
第一章 総則(第一条―第十九条)
第二章 乳児等通園支援事業
第一節 乳児等通園支援事業の区分(第二十条)
第二節 一般型乳児等通園支援事業(第二十一条―第二十四条)
第三節 余裕活用型乳児等通園支援事業(第二十五条・第二十六条)
第三章 雑則(第二十七条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この条例は、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号。以下「法」という。)第三十四条の十六第一項の規定に基づき、乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準を定めるものとする。
一 乳児 法第四条第一項第一号に規定する乳児(法第六条の三第二十三項の内閣府令で定めるものを除く。)をいう。
二 幼児 法第四条第一項第二号に規定する幼児のうち、満三歳に満たない者(法第六条の三第二十三項の内閣府令で定めるものを除く。)をいう。
三 保護者 法第六条に規定する保護者をいう。
四 乳児等通園支援事業 法第六条の三第二十三項に規定する乳児等通園支援事業をいう。
2 市は、最低基準を常に向上させるように努めるものとする。
(最低基準と乳児等通園支援事業者)
第四条 乳児等通園支援事業を行う者(以下「乳児等通園支援事業者」という。)は、最低基準を超えて、常に、その設備及び運営を向上させなければならない。
2 最低基準を超えて、設備を有し、又は運営をしている乳児等通園支援事業者においては、最低基準を理由として、その設備又は運営を低下させてはならない。
3 市長は、防府市子ども・子育て会議(防府市子ども・子育て会議条例(平成二十五年防府市条例第十三号)第一条に規定する防府市子ども・子育て会議をいう。)の意見を聴き、その監督に属する乳児等通園支援事業者に対し、最低基準を超えて、その設備及び運営を向上させるように勧告することができる。
(乳児等通園支援事業者の一般原則)
第五条 乳児等通園支援事業者は、利用乳幼児の人権に十分配慮するとともに、一人一人の人格を尊重して、その運営を行わなければならない。
2 乳児等通園支援事業者は、地域社会との交流及び連携を図り、利用乳幼児の保護者及び地域社会に対し、その行う乳児等通園支援事業の運営の内容を適切に説明するよう努めなければならない。
3 乳児等通園支援事業者は、自らその提供する乳児等通園支援の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。
4 乳児等通園支援事業者は、定期的に外部の者による評価を受けて、その結果を公表し、常にその改善を図るよう努めなければならない。
5 乳児等通園支援事業者(その者が法人である場合は、その役員)は、防府市暴力団排除条例(平成二十三年防府市条例第二十一号)第二条第二号に規定する暴力団員(以下この項及び次項において「暴力団員」という。)又は同条第一号に規定する暴力団(次項において「暴力団」という。)若しくは暴力団員と密接な関係を有する者であってはならない。
6 乳児等通園支援事業者は、暴力団又は暴力団員を利することのないようにしなければならない。
7 乳児等通園支援事業所には、法に定める事業の目的を達成するために必要な設備を設けなければならない。
8 乳児等通園支援事業所の構造設備は、採光、換気等利用乳幼児の保健衛生及び利用乳幼児に対する危害防止に十分な考慮を払って設けられなければならない。
(乳児等通園支援事業者と非常災害)
第六条 乳児等通園支援事業者は、軽便消火器等の消火用具、非常口その他非常災害への対応に必要な設備を設けるとともに、非常災害に対する具体的計画を立て、これに対する不断の注意を払い、及び訓練(次項の訓練を除く。)を行うように努めなければならない。
2 乳児等通園支援事業者は、少なくとも毎月一回、避難及び消火に関する訓練を行わなければならない。
(安全計画の策定等)
第七条 乳児等通園支援事業者は、利用乳幼児の安全の確保を図るため、乳児等通園支援事業所ごとに、当該乳児等通園支援事業所の設備の安全点検、職員、利用乳幼児等に対する事業所外での活動、取組等を含めた乳児等通園支援事業所での生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員の研修及び訓練その他乳児等通園支援事業所における安全に関する事項についての計画(以下この条において「安全計画」という。)を策定し、当該安全計画に従い必要な措置を講じなければならない。
2 乳児等通園支援事業者は、職員に対し、安全計画について周知するとともに、前項の研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。
3 乳児等通園支援事業者は、利用乳幼児の安全の確保に関して保護者との連携が図られるよう、保護者に対し、安全計画に基づく取組の内容等について周知しなければならない。
4 乳児等通園支援事業者は、定期的に安全計画の見直しを行い、必要に応じて安全計画の変更を行うものとする。
(自動車を運行する場合の所在の確認)
第八条 乳児等通園支援事業者は、利用乳幼児の事業所外での活動、取組等のための移動その他の利用乳幼児の移動のために自動車を運行するときは、利用乳幼児の乗車及び降車の際に、点呼その他の利用乳幼児の所在を確実に把握することができる方法により、利用乳幼児の所在を確認しなければならない。
2 乳児等通園支援事業者は、利用乳幼児の送迎を目的とした自動車(運転者席及びこれと並列の座席並びにこれらより一つ後方に備えられた前向きの座席以外の座席を有しないものその他利用の態様を勘案してこれと同程度に利用乳幼児の見落としのおそれが少ないと認められるものを除く。)を日常的に運行するときは、当該自動車にブザーその他の車内の利用乳幼児の見落としを防止する装置を備え、これを用いて前項に定める所在の確認(利用乳幼児の降車の際に限る。)を行わなければならない。
(乳児等通園支援事業者の職員の一般的要件)
第九条 乳児等通園支援事業者の職員は、健全な心身を有し、豊かな人間性及び倫理観を備え、児童福祉事業に熱意のある者であって、できる限り児童福祉事業の理論及び実際について訓練を受けたものでなければならない。
(乳児等通園支援事業者の職員の知識及び技能の向上等)
第十条 乳児等通園支援事業者の職員は、常に自己研鑽に励み、法に定める事業の目的を達成するために必要な知識及び技能の修得、維持及び向上に努めなければならない。
2 乳児等通園支援事業者は、職員に対し、その資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない。
(他の社会福祉施設等を併せて設置するときの設備及び職員の基準)
第十一条 乳児等通園支援事業所は、他の社会福祉施設等を併せて設置するときは、その行う乳児等通園支援に支障がない場合に限り、必要に応じ、当該乳児等通園支援事業所の設備及び職員の一部を併せて設置する他の社会福祉施設等の設備及び職員に兼ねることができる。
(利用乳幼児を平等に取り扱う原則)
第十二条 乳児等通園支援事業者は、利用乳幼児の国籍、信条、社会的身分又は利用に要する費用を負担するか否かによって、差別的取扱いをしてはならない。
(虐待等の防止)
第十三条 乳児等通園支援事業者の職員は、利用乳幼児に対し、法第三十三条の十各号に掲げる行為その他当該利用乳幼児の心身に有害な影響を与える行為をしてはならない。
(衛生管理等)
第十四条 乳児等通園支援事業者は、利用乳幼児の使用する設備、食器等又は飲用に供する水について、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講じなければならない。
2 乳児等通園支援事業者は、乳児等通園支援事業所において感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように、職員に対し、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修並びに感染症の予防及びまん延の防止のための訓練を定期的に実施するよう努めなければならない。
3 乳児等通園支援事業所には、必要な医薬品その他の医療品を備えるとともに、それらの管理を適正に行わなければならない。
(食事)
第十五条 乳児等通園支援事業者は、食事の提供を行う場合(施設外で調理し、運搬する方法により行う場合を含む。)には、当該施設において行うことが必要な調理のための加熱、保存等の調理機能を有する設備を備えなければならない。
(乳児等通園支援事業所内部の規程)
第十六条 乳児等通園支援事業者は、次に掲げる乳児等通園支援事業の運営についての重要事項に関する規程を定めておかなければならない。
一 乳児等通園支援事業の目的及び運営の方針
二 その提供する乳児等通園支援の内容
三 職員の職種、員数及び職務の内容
四 乳児等通園支援の提供を行う日及び時間並びに乳児等通園支援の提供を行わない日
五 保護者から受領する費用の種類、支払を求める理由及びその額
六 乳児及び幼児の区分ごとの利用定員
七 乳児等通園支援事業の利用の開始及び終了に関する事項並びに乳児等通園支援事業の利用に当たっての留意事項
八 緊急時等における対応方法
九 非常災害対策
十 虐待の防止のための措置に関する事項
十一 その他乳児等通園支援事業の運営に関する重要事項
(乳児等通園支援事業所に備える帳簿)
第十七条 乳児等通園支援事業所には、職員、財産、収支及び利用乳幼児の処遇の状況を明らかにする帳簿を整備しておかなければならない。
(秘密保持等)
第十八条 乳児等通園支援事業者の職員は、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用乳幼児又はその家族の秘密を漏らしてはならない。
2 乳児等通園支援事業者は、職員であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用乳幼児又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。
(苦情への対応)
第十九条 乳児等通園支援事業者は、その行った乳児等通園支援に関する利用乳幼児又はその保護者等からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。
2 乳児等通園支援事業者は、その行った乳児等通園支援に関し、市町村から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言の趣旨を勘案し、必要と認める改善を行うものとする。
第二章 乳児等通園支援事業
第一節 乳児等通園支援事業の区分
第二十条 乳児等通園支援事業は、一般型乳児等通園支援事業及び余裕活用型乳児等通園支援事業とする。
2 一般型乳児等通園支援事業とは、乳児等通園支援事業であって次項に定めるものに該当しないものをいう。
3 余裕活用型乳児等通園支援事業とは、保育所、認定こども園(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号。第二十五条第二号において「認定こども園法」という。)第二条第六項に規定する認定こども園をいい、保育所であるものを除く。以下同じ。)又は家庭的保育事業等(居宅訪問型保育事業を除く。以下同じ。)を行う事業所において、当該施設又は事業を利用する児童の数(以下この項において「利用児童数」という。)がその施設又は事業に係る利用定員の総数に満たない場合であって、当該利用定員の総数から当該利用児童数を除いた数以下の数の乳幼児を対象として行う乳児等通園支援事業をいう。
第二節 一般型乳児等通園支援事業
(設備の基準)
第二十一条 一般型乳児等通園支援事業を行う事業所(以下「一般型乳児等通園支援事業所」という。)の設備の基準は、次のとおりとする。
一 乳児又は満二歳に満たない幼児を利用させる一般型乳児等通園支援事業所には、乳児室又はほふく室及び便所を設けること。
二 乳児室の面積は、乳児又は前号の幼児一人につき一・六五平方メートル以上であること。
三 ほふく室の面積は、乳児又は第一号の幼児一人につき三・三平方メートル以上であること。
四 乳児室又はほふく室には、乳児等通園支援の提供に必要な用具を備えること。
五 満二歳以上の幼児を利用させる一般型乳児等通園支援事業所には、保育室又は遊戯室及び便所を設けること。
六 保育室又は遊戯室の面積は、前号の幼児一人につき一・九八平方メートル以上であること。
七 保育室又は遊戯室には、乳児等通園支援の提供に必要な用具を備えること。
イ 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第九号の二に規定する耐火建築物又は同条第九号の三に規定する準耐火建築物であること。
階 | 区分 | 施設又は設備 |
二階 | 常用 | 1 屋内階段 2 屋外階段 |
避難用 | 1 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百二十三条第一項各号又は同条第三項各号に規定する構造の屋内階段 2 待避上有効なバルコニー 3 建築基準法第二条第七号の二に規定する準耐火構造の屋外傾斜路又はこれに準ずる設備 4 屋外階段 | |
三階 | 常用 | 1 建築基準法施行令第百二十三条第一項各号又は同条第三項各号に規定する構造の屋内階段 2 屋外階段 |
避難用 | 1 建築基準法施行令第百二十三条第一項各号又は同条第三項各号に規定する構造の屋内階段 2 建築基準法第二条第七号に規定する耐火構造の屋外傾斜路又はこれに準ずる設備 3 屋外階段 | |
四階以上の階 | 常用 | 1 建築基準法施行令第百二十三条第一項各号又は同条第三項各号に規定する構造の屋内階段 2 建築基準法施行令第百二十三条第二項各号に規定する構造の屋外階段 |
避難用 | 1 建築基準法施行令第百二十三条第一項各号又は同条第三項各号に規定する構造の屋内階段(ただし、同条第一項各号に規定する構造の屋内階段については、当該屋内階段の構造は、建築物の一階から保育室等が設けられている階までの部分に限り、屋内と階段室とは、バルコニー又は付室(階段室が同条第三項第二号に規定する構造を有する場合を除き、同号に規定する構造を有するものに限る。)を通じて連絡することとし、かつ、同条第三項第三号、第四号及び第十号を満たすものとする。) 2 建築基準法第二条第七号に規定する耐火構造の屋外傾斜路 3 建築基準法施行令第百二十三条第二項各号に規定する構造の屋外階段 |
ハ ロに掲げる施設及び設備が避難上有効な位置に設けられ、かつ、保育室等の各部分からその一に至る歩行距離が三十メートル以下となるように設けられていること。
ニ 一般型乳児等通園支援事業所に調理設備(次に掲げる要件のいずれかに該当するものを除く。以下このニにおいて同じ。)を設ける場合には、当該調理設備以外の部分と一般型乳児等通園支援事業所の調理設備の部分が建築基準法第二条第七号に規定する耐火構造の床若しくは壁又は建築基準法施行令第百十二条第一項に規定する特定防火設備で区画されていること。この場合において、換気、暖房又は冷房の設備の風道が、当該床若しくは壁を貫通する部分又はこれに近接する部分に防火上有効にダンパーが設けられていること。
(1) スプリンクラー設備その他これに類するもので自動式のものが設けられていること。
(2) 調理用器具の種類に応じて有効な自動消火装置が設けられ、かつ、当該調理設備の外部への延焼を防止するために必要な措置が講じられていること。
ホ 一般型乳児等通園支援事業所の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でしていること。
ヘ 保育室等その他乳幼児が出入し、又は通行する場所に、乳幼児の転落事故を防止する設備が設けられていること。
ト 非常警報器具又は非常警報設備及び消防機関へ火災を通報する設備が設けられていること。
チ 一般型乳児等通園支援事業所のカーテン、敷物、建具等で可燃性のものについて防炎処理が施されていること。
(職員)
第二十二条 一般型乳児等通園支援事業所には、保育士その他乳児等通園支援に従事する職員として市長が行う研修(市長が指定する都道府県知事その他の機関が行う研修を含む。)を修了した者(以下この条において「乳児等通園支援従事者」という。)を置かなければならない。
2 乳児等通園支援従事者の数は、乳児おおむね三人につき一人以上、満一歳以上満三歳未満の幼児おおむね六人につき一人以上とし、そのうち半数以上は保育士とする。ただし、一般型乳児等通園支援事業所一につき二人を下ることはできない。
一 当該一般型乳児等通園支援事業と保育所、幼稚園、認定こども園その他の施設又は事業(以下この号及び次号において「保育所等」という。)とが一体的に運営されている場合であって、当該一般型乳児等通園支援事業を行うに当たって当該保育所等の職員(保育その他の子育て支援に従事する職員に限る。)による支援を受けることができ、かつ、専ら当該一般型乳児等通園支援事業に従事する職員が保育士であるとき。
二 当該一般型乳児等通園支援事業を利用している乳幼児の人数が三人以下である場合であって、保育所等を利用している乳幼児の保育が現に行われている保育室等において当該一般型乳児等通園支援事業が実施され、かつ、当該一般型乳児等通園支援事業を行うに当たって当該保育所等の保育士による支援を受けることができるとき。
(乳児等通園支援の内容)
第二十三条 一般型乳児等通園支援事業における乳児等通園支援は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和二十三年厚生省令第六十三号)第三十五条に規定する内閣総理大臣が定める指針に準じ、乳児等通園支援事業の特性に留意して、利用乳幼児及びその保護者の心身の状況等に応じて提供されなければならない。
(保護者との連絡)
第二十四条 一般型乳児等通園支援事業を行う者は、利用乳幼児の保護者と密接な連絡をとり、乳児等通園支援の内容等につき、その保護者の理解及び協力を得るよう努めなければならない。
第三節 余裕活用型乳児等通園支援事業
一 保育所 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(保育所に係るものに限る。)
二 幼保連携型認定こども園以外の認定こども園 認定こども園法第三条第二項に規定する主務大臣が定める施設の設備及び運営に関する基準
三 幼保連携型認定こども園 幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準(平成二十六年内閣府・文部科学省・厚生労働省令第一号)
四 家庭的保育事業等を行う事業所 家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成二十六年厚生労働省令第六十一号)(居宅訪問型保育事業に係るものを除く。)
第三章 雑則
(電磁的記録)
第二十七条 乳児等通園支援事業者及びその職員は、記録、作成その他これらに類するもののうち、この条例の規定において書面(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この条において同じ。)で行うことが規定されている又は想定されるものについては、書面に代えて、当該書面に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)により行うことができる。
附則
この条例は、令和七年四月一日から施行する。