新材の加工(平成12年7月) 八角に製材された柱材は、角を取って丸くされ側廻りに使わる。樹種は桜、桂である。 ※墨を引いているのは松浦氏、昭和4年静岡県藤枝市に生まれ、京都の海住山寺立重塔・奈良の法隆寺山門等、国宝5カ所、重文27カ所の修理を手がけた宮大工。 | 
部材の補修 文化財の修理では、元の材料をできる限り再用するのが原則である。むかしの人もそうしたようで、須弥壇(しゅみだん)は一部安永以前の古材が利用されている。 部材は傷んだ箇所を矧ぎ木・埋め木・継ぎ木・含浸(硬化防虫・防腐効果のある液をしみ込ませる)古色塗り等を施し再用する。古材の再用割合は70% |

床下叩き(平成12年12月) 眞砂土・赤土に石灰・塩化カルシウム(苦塩)を混ぜて木槌で叩く。(三和土) | 
立柱安全祈願(平成13年1月) 軸柱を仮置して工事の安全を祈って祈願式(内陣にて)。祈願の祈りをあげているのは福山秀道住職 |

内陣軸部組立(平成13年2月) 欅・塩地・栂の丸柱14本(すべて古材・長さ約8m)を立て貫で連ねる。床の大引も渡る。 | 
内陣組物完了(平成13年4月) 内陣軸柱に組物(斗(ます)、肘木)が付き側廻りの柱も立つ。 |

内陣組立完了(平成13年5月) 内陣の天井が張られ、一重大梁が渡る。 | 
正面向拝(平成13年5月) 茨垂木と呼ばれる化粧垂木が並び、唐破風造の姿が現れたところ。 背面の向拝も同様に作られる |

下層軒工事(平成13年7月) 側廻りの天井が張られ、地垂木を取り付けるための丸桁(がぎょう)が渡されたところ。 | 
下層軒回り組立(平成13年8月) 地垂木を取付け、化粧裏板張りなどが行われているところ。 |

下層桔木組立(平成13年9月) 四面軒の桔木を取付けたところ。 | 
下層桔木(平成13年9月) 桔木に母屋を組む仕口を作っているところ。 |

下層母屋組立(平成13年10月) 桔木に母屋(横木)を取付けたところ。 この上に野垂木を取りける。 | 
下層野地板(平成13年11月) 下層屋根は、これに土居葺をして瓦を置くと完成。 |

上層組物(平成13年11月) 下層屋根上にステージが作られ、上層屋根の木組みが始まる。 側廻りの柱頭には組物(斗・肘木)が置かれている。 | 
上層組立(平成13年12月) 上層小屋組が行われ、四隅には隅木が付く。 |

上層軒化粧裏板(平成14年1月) 軒先工事中、地垂木に化粧裏板が張られたところ。 | 
五重小屋梁組立完了(平成14年2月) 桔木、隅木も取付けられ、中央の長い1本梁は六重中引梁。 |

上層組立完了(平成14年4月) 桔木に母屋が取付けられる。中央は大棟木、手前妻部は野地板が張られ、工事用ステージが作られている。 | 
上層屋根野垂木組立完了(平成14年4月) 母屋に野垂木が取付けられ、屋根の美しい線が現れる。 |

上棟式(平成14年5月) 13日、上棟を祝って上層ステージで上棟式、大棟木に取付けられる棟札には、住職、大工の名前、修理年月日等を記入して跡を残す。 僧侶、烏帽子直衣姿の大工が見える。 | 
上層屋根土居葺(平成14年7月) こけら板(さわら材)を釘で葺く。使われたこけら板は約15万枚 |

上層屋根平葺完了(平成14年7月) 屋根は平瓦と丸瓦で葺く本瓦葺といわれる葺き方、平瓦は横32cm、縦36cm。雨漏りに備えて3分の2も重ねる。補充瓦は奈良で焼かれた。 | 
上層屋根丸瓦葺完了(平成14年9月) |

上層妻部屋根縁(平成14年9月) 箕甲(みのこう)部といわれるところで掛唐草(かけからくさ)瓦を葺く。突起が列をなしている所に降棟(くだりむね)が付く。 | 
縁高欄組立(平成14年11月) 縁板、縁束、高欄等の組立、高欄柱には鋳物の擬宝珠が付く。鋳物の鋳造は大阪の業者で作製。 |

上層瓦の目地漆喰(平成14年11月) 棟、軒先等要所要所に目地漆喰が付けられる。 | 
大棟目地漆喰(平成14年11月) 大棟は瓦を積み高さ93cm、大棟鬼瓦の所は高さ1mになる。 目地漆喰も頑強に施される。避雷針が取付けられる。 |

上層屋根完成(平成14年11月) 目地漆喰が完了し、妻飾も終わる | 
上層軒下部の組物(平成15年1月) 上層軒裏の垂木、肘木等の組物が美しい。 下層屋根はまだ土居葺の状態。 |

下層屋根の土留桟 土居葺の上に土を留める土留桟を付けたところ。 | 
下層屋根瓦葺(平成15年4月) 丸瓦をふせているところ。 |

下層屋根の目地漆喰(平成15年6月) 軒先、葺き終わり・際熨斗(きわのし)等の目地漆喰が終了。 上屋根の雨水の落ちる部所は平瓦を仮設的に置く。 | 
内陣後背の壁紙下貼り(平成15年7月) 壁紙本紙は宇部市の絵師が作製。 |

正面向拝完了(平成15年8月) 修理前と同じように鬼瓦は漆喰で巻く。 背面の向拝も同様。 | 
風鐸新規作製(平成15年1月) 左(附指定)は当初で、安永八歳の刻字が見える。これを元に新しく作製する。 上下軒先四隅に鈎るされる。 |

床下木組 通風を考えて高い床。多数の床束が大引を支えている。材は松の自然木。 | 
素屋解体(平成15年9月) 平成10年6月から6年間、堂を守っていた素屋根が除去される。 |

ほぼ完成した金堂(平成15年10月) 残っているのは内装、外回り、防災施設等の工事。竣工は平成16年9月の予定。8年間にわたるこの事業の経緯や資料等の展示観覧について、寺では考え中とのこと。 なお、平成16年6月25日~8月1日、山口市山口県立美術館で周防国分寺展が開催された。 | 
落慶法要 平成16年11月7日金堂の完成を祝い、盛大に落慶法要が行われた。 |