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【その他】大学生(山口県内)→団体職員(防府)
平井 佐和子(ひらい さわこ)さん
市民活動支援センター職員
[取材日:2014年6月26日]
防府市の玄関口、防府駅そばにあるルルサス防府。図書館も収まるその建物の2階にある、防府市地域協働支援センター内の市民活動支援センターに平井さんはいる。
「半年で人生が変わった。」
そう語る平井さんは始終柔らかな笑顔で、ゆっくりとした口調で話されるが、じっと目を見て話す様子から仕事に対する姿勢や強い意思が感じられる。
平井さんは市民活動支援センターに勤務されている。「まだまだ勉強することばかり。」と謙虚に微笑む。同じ職場の知識が豊富で頼りになる先輩を尊敬しており、あこがれなんだそう。市民活動支援センターでは市民活動団体やボランティア団体の相談対応や情報発信等の業務をしている。「答えのない仕事。」と言い切る平井さん。仕事の難しさを感じているからこそ、やりがいを感じるそうだ。
平井さんは鳥取県倉吉市の高校を卒業後、大分県の短期大学に入学し、まちおこしのイベントに携わっていたそうだ。短期大学卒業後の進路を考えたときに、地域に密着している大学として山口県立大学(山口市)を知り、編入することに決める。
地域振興を研究するゼミに入った平井さんは卒業論文のテーマとして地元について書こうと思い、ゼミの教授に相談したところ、テーマに思いが入っていない、それでは卒業論文を書くときに苦戦すると言われたそうだ。新しいテーマが決められず困っていたところに教授から、「何をしている時が幸せ?」と聞かれ、「スポーツです。」と答えた平井さん。それならと紹介されたのが防府市富海海岸で活動するビーチサッカーチーム『プラシア山口』だった。『プラシア山口』とは富海海岸で練習を行い、チームにはビーチサッカー日本代表選手もいる全国的な強豪チームである。
教授からの言葉が平井さんの人生を変えることになるとは、平井さん自身その時は思っていなかった。大学卒業後は住み慣れた地元にもどるつもりで就職活動も地元で行っていたとのこと。しかし卒業論文の作成でかかわった富海地区のボランティア団体の方々や『プラシア山口』の熱意や勢いに圧倒され、防府市に住みたい、地域に貢献したいと思うようになったという。就職活動先を防府市内に変え、卒業論文の縁もあって防府市に就職することになったそうだ。
知り合いの少ない防府市に住むことに不安はあったが、それより知らないところで一からできる、面白そうだと前向きな気持ちだったと話す。考えもしなかった未来へ繋げてくれた卒業論文は宝物なのだそうだ。
現在、平井さんは幅広い相談に対応できるようになるため、市民活動団体のマネジメントや地域のさまざまな課題等について日々勉強なのだそうだ 。相談の中には団体の維持のみを目的とした相談を受けることがあるそう。市民活動支援センターの業務の目的は団体を支援したことでまちがどうよくなるのかが前提としてある。団体の活動だけでなく、その活動によってどう地域の課題が解決されるかを支援し、団体内の活動だけではなく団体外へ情報を発信していき、市民活動支援センターへ相談に来なくても、団体自身が解決できる持続可能な力をつけられるような支援をしていきたいと、平井さんは熱い思いを語ってくれた。
プライベートでは『プラシア山口』のマネージャーとなり、地域とチームのパイプ役をしているそうだ。富海地区のボランティア団体の方々は同じ地域の活性化を目指す仲間として、『プラシア山口』を受け入れ、応援してくださるそうだ。『プラシア山口』は富海地区を中心に活動しているが、防府市内ではまだまだ知られていないため、多くの人に知ってもらいたいと意欲を見せる。その活動を支援するため、助成金の申請を行ったことで、支援者・相談者それぞれの視点を持つことができ、仕事に活かされるといったいい影響もあるそうだ。
防府市の魅力は、と聞いたところ、少し考えて人が魅力ですと答えてくれた。卒業論文が繋いでくれた縁が人生を変えた。平井さんはそれほどの魅力ある方々と出会うことができたのだろう。そして平井さん自身も魅力ある人だと今回の取材で感じた。
「仕事が休みの日は『プラシア山口』の活動に参加しているので、今のところ休みという休みがないんです。」
そう言った平井さんの笑顔はとても充実しているように見えた。
市民活動支援センターホームページ
⇒ 「http://hofu-saport.org/」(2014年6月26日現在)